アキレス断熱製品についての専門知識

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断熱製品についての専門知識

■ウレタンフォームは燃焼したとき有毒ガスを出すと聞いたのですが本当ですか?


ウレタンフォームに限らずすべての有機物が燃焼すると一酸化炭素が発生します。そして火災時にガス中毒死の原因になるのは、この一酸化炭素です。

■解説

シアンガス発生濃度グラフウレタンフォーなど窒素原子を含む物質からは燃焼時にシアンガスが発生するので危険だという声があります。しかし、ウレタンフォームの燃焼試験では燃焼温度が低いときには一酸化炭素が多く発生し、燃焼温度が高くなるとシアンガスも発生することがわかります(図1)。実際の火災では初期の低温段階から、あらゆる可燃物の燃焼により多量の一酸化炭素が発生し、それがガス中毒死の原因になるのです。従って、燃焼に関してウレタンフォームなど窒素含有物質の特異性を指摘するのは正しくありません。むしろ、すべての可燃物から発生する一酸化炭素の問題を忌避した危険な意見と言えます。樹脂系断熱材の中には燃焼条件によりウレタンフォームよりも多くの一酸化炭素を発生させる材料もあるからです(表1)。しかし、私たちは断熱材に限らず、木材や布製品など多くの可燃物に囲まれ、これらの特性を生かせています。ウレタンフォームをはじめとした樹脂系断熱材は不燃内外装材と組み合わせることにより充分な防火性能を得、かつ本来の優れた物性を発揮して住宅の断熱性能向上に貢献します。

■断熱材の燃焼性は材質によってどう違うのですか?


燃焼性は材質や試験方法によって異なります。ただし、ウレタンフォームのように表面材と組み合わされた材料もあるので、試験する際は製品そのものの形態で評価することが大事です。

■解説

各種断熱材の燃焼比較樹脂系断熱材は熱によって柔らかくなる熱可塑性樹脂と熱によって硬くなり炭化する熱硬化性樹脂に大別されます。前者の代表はポリスチレンやポリエチレン、後者の代表はウレタンやフェノールですが、両者間では燃焼性が大きく異なり、また個々の材質によっても異なります。そのため試験方法によっても燃焼性能の評価は異なったものになります。一方樹脂系断熱材の中には表面材を含む複合体で構成されているものも多く、材料の燃焼性能は当然この表面材を伴った状態で評価するのが実態に即していると言えます。表1は材料の燃焼性の評価で信頼性の高いコーンカロリーメータ試験の結果を示したものですが、樹脂単体の結果と、表面材との複合体としての結果は必ずしも一致していないことが解ります。これを視覚的に示したのが写真1の鉄道車両試験です。フォームの難燃性も重要ですが、複合製品としての表面材の燃焼性も火災には重要な要素となっています。キューワンボードやアキレスボードALNノンフロンの面材はアルミクラフト紙のため難燃性が高く、火源が消火すると同時に断熱材も消火します。しかし、一般にフォームの難燃性が高いと言われているフェノールや無機系のガラス繊維では、被覆する面材によっては燃焼するため、火源が消火しても直ちに消火せず、いつまでも面材が延焼する状態となるものもあります。フォーム単体の難燃性能だけでなく製品としての難燃性能を理解した上で、防火性を判断したいものです。

■断熱材からVOCが発生することがありますか?

※VOC:揮発性有機化合物

断熱材の中にはホルムアルデヒトを含む材質もあります。放散量は材料構造や測定条件により異なりますが、断熱材選択の際には知っておいた方がいいでしょう。

■解説

VOC設計対象品目VOC(揮発性有機化合物)にはたくさんの種類がありますが、このうちすでに規制されているもの、あるいは今後規制が予想されるものは表1の通りです。このうち、7月施工のシックハウス法で規制されるホルムアルデヒドは樹脂系断熱材では、フェノールフォーム、ユリアフォームなどから放散される可能性があります。これら尿素系樹脂はホルムアルデヒドが原料であり、未反応の残留分があるためです※。そのほかグラスウール、ロックフールなどの繊維系断熱材は無機物なので本来はVOCには関係ないはずですが、接着剤(バインダー)として尿素やフェノールを使用しており、これら接着剤からホルムアルデヒドが放散されるのです。そのためこれらの断熱材は合板や木質系ボード類とともに「第一種ホルムアルデヒド発散建材」に定められています。ホルムアルデヒドの放散量を試験する方法として従来からのJIS A 1460(デシケーター法)の他にJIS A 1901(小型チャンバー法)が新たに定められました。上記ホルムアルデヒド発散建材はシックハウス法による使用制限を受けないようにするためには、原則として小型チャンバー法試験による個別認定でF☆☆☆☆等級を取得しなければいけません。硬質ウレタンフォームはホルムアルデヒド発散建材ではありませんから、こうした個別認定を受ける必要はありません。小型チャンバー法は非常に精緻な測定法なので空気中のごく微量のホルムアルデヒドを感知し、測定値がゼロということはありません。